ビーコンヒル
2013年09月10日|ロウハウス研究|http://komada-archi.info/archives/1475
突然ですが、アメリカに来ています。成田を発って今日で4日目。最初の目的地ボストンからフィラデルフィアへ向かう飛行機の中でこのblogを書いています。
一昨年に続いて、東京工芸大学の市原先生、研究室の学生と一緒にボストン、フィラデルフィア、ニューヨークのロウハウスを見て廻ります。先生の御陰で、科研費を国から頂けることになり、私はボストンビーコンヒル地区のロウハウスについて論文を書くことに。テーマは「接地の作法」。ビーコンヒル地区のロウハウスの多くは、狭い街路と建物が直接接しているにもかかわらず、良好な都市空間を実現しています。一昨年の視察で直感的に思ったのは、どうやら建物の接地の仕方に特別な何かがあるのではないかということでした。ロウハウスの1階が街路面から少し高くなっているのは、ロウハウスの本国イギリスでもおなじみの形で、それによって、建物内部と外部の視線がずれ、プライバシーが守られる。街を歩く人は建物の窓の向こうを気にしなくてもすむ。しかし、それだけでは、ビーコンヒルの街並の豊かさを説明することは、全く出来ません。
ではそれは何なのか?私が着目したのは、建物の足元と歩道の関係でした。簡単に言えば、建物と歩道の境界面が、入組んでいるということ。私たちの常識では、歩道と建物の建つ敷地は、一本の境界線で仕切られています。しかし、ここでは建物の一部が、歩道に食込み、歩道の一部が建物に食込む、といった相互貫入の関係が見て取れるのです。その関係を「接地の作法」ととりあえず呼んでみて、いずれはロウハウスの話にとどまらない、都市と建築(とくに日本のように土地の限られている場所の)の関係を、、、おっと、そろそろランディングです。続きはまた。〈TAK〉
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「balco」隙間の再定義
2013年08月31日|TEXT|http://komada-archi.info/archives/2058
四谷付近で外濠から枝分かれした谷筋が、戸山の箱根山に向かって淀橋台に切り込む。「balco」はその最奥部、狭くなった谷地の底に位置している。周囲は小さな住宅が密集しているが、すこし視線を上げれば、東京女子医大をはじめ、台地に建つ大きな建物群が目に入る。都心におけるモザイク状の土地利用の分布は、台地と谷地の作る複雑な地形を契機として成立しているが、「balco」からの眺めは、まさにその縮図と言えるだろう。
もとは古い木造一軒家が建っていた、35坪ほどの南北に細長い土地に、地上4階、全4戸のコーポラティブハウスを計画した。今後、人口減少が進むとは言え、都心部の住宅密集地では、このような小さな敷地であっても、その多くが不燃化、高密化され、集合住宅化して行くことは避けられない。しかし、小さな区画をそのままの広さで集合住宅化するのは、避難計画などはもちろんのこと、採光や通風など、快適な住空間を担保する、最低限の要件に照らし合わせても、容易なことではない。土地所有が細分化されている状況では、敷地の統合は困難であり、もとより、小さな建物が密集しているこの様な場所の空気感を、再開発的手法で消し去ることの愚かしさを、私たちは充分に理解しているはずだ。
「balco」は、高密化が避けられない都心の住宅密集地における、小規模集合住宅の提案的実践である。必然的に生まれる隣地との隙間に着目し、それを建築計画上はもちろんのこと、豊かな住空間と都市空間を担保する為のリソースとして、最大限に活用することを目指した。
容積をほぼ使い切った後の、隙間のスペースを西隣地側に細長くとり、そこに共用階段とバルコニーを配置した。隙間を西側にとったのは、高度斜線を避ける上で有利だからである。バルコニーの間を縫うように登る、緑化された階段室の屋上は、道を歩く人々の目を楽しませ、僅かではあるが、古家にあった緑の記憶を継承することが出来た。この小さな立体緑地と、スチールメッシュでカバーした細長いバルコニーに向かって、住空間が膨らみ、入居者はそれぞれの工夫で、小さな外部を楽しむことが出来る。いつか隣家も建て替わり、現在の眺望を失うことになるだろう。しかし、その後もこの隙間を使い継ぐことで、生活者の豊かな振る舞いが、かわらず展開することを期待している。
「新建築」13年8月号
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久しぶりに現場
2013年08月29日|旗の台集合住宅|http://komada-archi.info/archives/1454
仕事には波があります。今年の前半は設計の仕事が殆どで、ここ数ヶ月現場監理が無いという時期も。となれば、自ずとこれからは監理の仕事が増える。この異常な暑さの中あまり現場へ行かずに済んだのは、まあラッキーではあったのですが、もう少し仕事のバランスが取れたらなあとも思います。
今日は監理の季節到来とばかりに、3カ所の現場を廻ってきました。
まずは保土ヶ谷のリノベーションの現場。こちらは家の片付けがようやく終わったところで、施工は来月終わり頃から。小さな庭を囲んだ、気持ちのよいLDKが出来そうです。
次に向かったのは、旗の台のオーナー住戸付き賃貸集合住宅。いま掘っている地下は、オーナーの住宅と音楽教室が入ります。それぞれの住戸がそれぞれの住人にとって「自分の家」と思える、ちょっとした仕掛けを考えている建物です。
そして戸越銀座に程近い、賃貸集合住宅「alleyway戸越」。遺跡発掘現場ではありません(笑)。根切りが終わっただけの現場がこんなに面白いなんて。。。自分でも驚きました。名前の通り敷地に路地を引込みます。建物は何度か試みてきた「一筆書き」の壁をより大胆に展開して、この界隈の「猥雑さ」に寄り添うようなデザインを考えています。
最後に、旗の台へ向かう途中で、たまたま見つけて寄った中華がとても美味しかったので。こんな偶然があると、1日が幸せに感じます。「くろさわ東京菜」。写真を撮り忘れました。通りからは店があることも分かりませんが、(私たちもたまたま車を止めたら、横にあったという感じでした)大森方面へお越しの際はぜひ。ランチは安いです。〈TAK〉
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