久しぶりに現場

仕事には波があります。今年の前半は設計の仕事が殆どで、ここ数ヶ月現場監理が無いという時期も。となれば、自ずとこれからは監理の仕事が増える。この異常な暑さの中あまり現場へ行かずに済んだのは、まあラッキーではあったのですが、もう少し仕事のバランスが取れたらなあとも思います。
今日は監理の季節到来とばかりに、3カ所の現場を廻ってきました。


まずは保土ヶ谷のリノベーションの現場。こちらは家の片付けがようやく終わったところで、施工は来月終わり頃から。小さな庭を囲んだ、気持ちのよいLDKが出来そうです。


次に向かったのは、旗の台のオーナー住戸付き賃貸集合住宅。いま掘っている地下は、オーナーの住宅と音楽教室が入ります。それぞれの住戸がそれぞれの住人にとって「自分の家」と思える、ちょっとした仕掛けを考えている建物です。


そして戸越銀座に程近い、賃貸集合住宅「alleyway戸越」。遺跡発掘現場ではありません(笑)。根切りが終わっただけの現場がこんなに面白いなんて。。。自分でも驚きました。名前の通り敷地に路地を引込みます。建物は何度か試みてきた「一筆書き」の壁をより大胆に展開して、この界隈の「猥雑さ」に寄り添うようなデザインを考えています。

最後に、旗の台へ向かう途中で、たまたま見つけて寄った中華がとても美味しかったので。こんな偶然があると、1日が幸せに感じます。「くろさわ東京菜」。写真を撮り忘れました。通りからは店があることも分かりませんが、(私たちもたまたま車を止めたら、横にあったという感じでした)大森方面へお越しの際はぜひ。ランチは安いです。〈TAK〉

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新建築 13年08月号

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「FRILL」襞がつくる大小さまざまな居場所

「FRILL」は、世田谷の閑静な住宅街、環七沿いの台地の上に、ちょうど下北沢の街を見下ろすように建っている。
カーブした1枚の壁が、フリルのような襞の中に、大小さまざまな居場所を造る。一筆書きの壁による、分節と接続。空間が一つの像を結ばない。多様な読み取りを可能にする場の造り方は、「Folded W」でも試みた手法であるが、ここでは角をラウンドさせることで、壁に包まれたような、柔らかな印象をつくり出している。全体として、連続感のある、複雑で奥行きの深い場を造り出し、1階の天井高、2階の床レベルと仕上の変化が、更なる抑揚を加えている。

計画がスタートした時点で、お住まいの予定は、80代の母、50代の娘、高校生の孫の3人。母が一人住まいをしていた古家を、3世代同居するために、建替えるのが目的であった。油絵が趣味の母は、天井が高く、内外とも白い壁で、床はコンクリートの造りを、希望されていた。視界が開ける東側には、大きな窓と、そこから人を招き入れること。「いずれ、1階で絵画教室を開いたら良いのではないか。」「日本家屋に長く住んでいたから、モダンな家に住みたい。」そんなことも仰っていた。かくしゃくとしていて、とても娘の世話になるという感じではない。

私たちが考えたのは、いわゆる2世帯住宅ではなく、3人の自律した大人の為の住宅である。そして、家族だけでなく、時には外部の人々へ開放する場も用意したい。1,2階とも、個室の以外の部分を、壁で二つに分割し、コーナーに穿たれたアーチ状の開口で、緩やかに繋いだ。それによって、個室の外にも、3人が時々に応じた、それぞれの居場所をみつけることが出来る。デッキから生徒を招き入れれば、アトリエは絵画教室だ。個室から絵画教室に至る場の変化を、フリルの様な壁が緩やかに分節し、柔らかく包みこむ。

お母様は「FRILL」の工事中、体調を崩され、この家に住むことが、叶わなくなってしまった。お母様が愛用していたイーゼルを見るたびに、ここで好きなだけ絵を描いて欲しかったと思う。残念でならない。ただ、娘さんからは、アトリエをギャラリーとしても使いたい、というお話を頂いている。私たちも、是非そうなって欲しいと、切に願っている。

「新建築 住宅特集」2013年07月号

→「FRILL」作品紹介

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balco

新宿区河田町に建つ4戸のコーポラティブハウス。隣地との隙間を細長くとり、そこに共用階段とバルコニーを配置しました。バルコニーの間を縫うように登る階段室の屋上は緑化され、住人と道を歩く人々の目を楽します。この小さな立体緑地と、スチールメッシュでカバーした細長いバルコニーへ住空間が膨らみ、入居者はそれぞれの工夫で、小さな外部を楽しむことが出来る。いつか隣家も建て替わり、現在の眺望を失うことになるかもしれません。それでも、この隙間を使い継ぐことで、生活者の豊かな振る舞いが、かわらず展開することを願っています。

“balco” is a suggestive practice of a small-scale apartment houses in a dense residential area at the city center. We focused on the gaps between the building and the adjacent lots, which were necessarily made. These clearances were to be utilized at their best as a resource to retain abundant residential spaces and urban spaces as well as architectural planning. After almost all the legally possible floor areas were used for the plan, the remaining gaps were arranged in an elongated way next to the adjacent lot on the west, where common stairs and balconies were placed. Greens of the common stairs on the roof are running through the balconies and residential spaces swell towards the long and narrow balconies covered with steel-mesh. It is expected that such an affluent use of small gaps would continue from now on.

掲載誌他
[新建築] 13年08月号
[Lives] vol.72
[日本建築学会作品選集] 2017年

[新建築] 13年08月号 text

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