「平井の家」 発見された空間
2005年10月09日|TEXT|http://komada-archi.info/archives/965
荒川河岸に造成された高規格堤防に建つ2世帯住宅。既存堤防沿いの土地を奥行き80mにわたって盛土し、宅地ごと分厚い堤防にするという大規模な造成工事によって生まれた敷地で、建主は造成前からの住人である。造成完了から間をあけず着工するスケジュールであったため、実際の敷地を見ることもできず、隣や向かいにどんな家が建つのかも全く不明で、デザインは自ずと確実に分かることだけにフォーカスして進めることとなった。
その中でも最も大きな特徴は荒川の眺望である。荒川の対岸に走る首都高速環状線の高架を挟んで中川が並走し、最短でも1km先まで見通すことが出来る。この眺望を楽しむバルコニーとリビングスペースを3階に設けることが条件となった。ただ、川に面して手前に隣地があるため、前面道路と川沿いの道がぶつかるT字路方向への視界を期待するしかない。
結果的にこの設計は眺望の確保という問題から出発して、建主がイメージする個々の空間の在り方、世帯間の関係といったプランニングの問題や、それを支える構造の問題、その他多岐にわたる問題系を同時に解決し、「計画」という概念からは生成し難い空間を「発見」することであったと思う。様々なトライアンドエラーを繰り返し、その過程で敷地が東側へ拡大すると言うアクシデント(?)もありながら、実施案が選び取られた。案を練り上げたというより選び取ったという感覚である。眺望を得るために3階の床をT字路方向へ斜めに振り、その結果三角形の吹抜けが大小3つ生まれた。中小の吹抜けはそれぞれ子世帯の寝室と浴室に使われる。ハイサイドライトを設けることにより周囲の状況に関わらず安定した採光通風が可能な2つの部屋は、意外性と創意が求められた子世帯の空間にうってつけであると感じた。フリースペースの大きな吹抜けは2階レベルで親世帯LDKの吹抜けと接し、3層を互い違いに繋ぐスペースができた。1階と3階は直接視線が交わらないが、フリースペースや階段、寝室や書斎の回転扉からは視線が複雑に交差し、様々な距離感を内包する場が生まれる。これも、打合せを重ねるにつれ見えて来た建主の望む両世帯の間合いにフィットするものであった。
山辺豊彦氏と検討を進めた構造は鉄骨外殻架構を採用している。床面が3角形グリッドで構成されるため、大きな吹抜けを抱えながらも床剛性の確保が可能で、平面同様立面的にも斜材を有効に活用した結果、内部空間の多様性を確保しつつ部材断面を極力抑えた架構が可能となった。
(2005年「新建築住宅特集」3月号)
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座間の家
2005年05月01日|住宅|http://komada-archi.info/archives/253
敷地は泉から流れる水路に面した緑に恵まれた環境にあり、その景観は市の町づくり地区に指定されています。この住宅のテーマは単純な形の住棟を自由に配置することで世帯間の間合いを調整し、同時に様々な意味合いや使い方を有した豊かな外部を作り出すこと。そして、全体が形のアンサンブルとして街並に 美しく映ることです。子世帯は建物の東西に、親世帯は三方に縁側を設置し、縁側が内部と外部の中間の場所になるように設計しています。縁側のサッシの開け閉めで、空間は大きく変化します。
掲載誌他
[住んで納得!のイマドキの2世帯プラン集]
[PEN] 2006年 11/1号
[新しい住まいの設計] 2006年11月号
[第37回ストアフロントコンクール住宅部門] で金賞を受賞
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東船橋の家
2005年04月01日|住宅|http://komada-archi.info/archives/188
船橋市に建つ4人家族のための住宅です。1階のLDKは足元と天井際にスリット窓を巡らし、プライバシーを保ちつつ緑豊かな外部環境を積極的に取り込んでいます。部屋のどこにいても周囲の松林や南側の空を常に望み、庭に植えられた緑へ自然に視線が流れます。鉄骨のV字がつくる特徴のある外観は、どこかユーモラスで街のアイコンとなっています。
掲載誌他
[住まいの設計 6]
[月刊ハウジング] 2008年11月号
[マドリの教科書] 2008年
[MY HOME 100選]
[マイホームプラス] 2006年 Vol.03
[新しい住まいの設計] 2006年1月号
[GA HOUSES] 89号
[TITLE] TITLE SPACE 2005年10月号
TV朝日 渡辺篤史の「建もの探訪」(7/23放送)に登場
第8回「あたたかな住空間デザイン」コンペティション東京ガス賞を受賞
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