121230 建築のチカラ・人のチカラ
2012年12月30日|その他|http://komada-archi.info/archives/915
一昨年お引渡をした住宅のクライアントからこんなメールを頂きました。
「引っ越しを機に本当に人生が変わった気がします」
住宅の設計をしていてこれほど嬉しい言葉はありません。クライアントとの出会いから、引渡までの出来事を想い浮かべながら、自分の心も満たされて行くのが分かります。
建築には人の人生や社会をかえる素晴らしいチカラがある。僕もそう考えてこの仕事をしています。でも、同時にいつも思うのは、この世で建築にだけ特権的なチカラがあると考えるのは傲慢に過ぎるということ。それに、そもそも建築は人生を変えるためのキッカケでしかないんじゃないかと。仮に人生や生活に対する答えがあるとしても、それは建築にではなく、そこに住む人々の内にこそあるはず。人は主体的にしか変われない。答えを建築に求めすぎても幸せにはなれないでしょう。物理的な環境に理想の形などあるはずがないのです。
メールを頂いて思ったのは、感謝しなければならないのは、むしろ僕たちの方だということ。
建築を通じて新しい気持ちになれたのは、結局のところ建築ではなくて、そこに住むクライアントのチカラの賜物だと思うからです。
本当にありがとうございました。〈TAK〉
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121219 SZ邸引渡
2012年12月19日|SZ邸|http://komada-archi.info/archives/844
SZ邸引渡しました。
SZ邸は私の地元葛西で従姉妹家族のために設計した住宅です。
戦前まで農業や漁業、特に海苔養殖を生業とする小さな町だった葛西は、運河による交通が大変盛んでした。私の母はそこで長く続く家の出身で、実家は明治期に建てられた茅葺き屋根がとても立派な日本家屋でした。盆暮れに親戚一同が会した実家の前を、小さな船が行き交っていたことをおぼろげに覚えています。水路は私が小さかった頃に暗渠になり、ずっと残って来た家も20年程前に取り壊されてしまいました。解体にあたって既にこの仕事に就いていた私が何も出来なかったことは、今でも大きな悔いとして残っています。都の文化財に指定されていた建築的な価値もさることながら、一族や地域の記憶が深く刻み込まれた風景の大切さにもっと意識的であるべきでした。親戚一人が何を言ったところで何も変わらなかったでしょうし、その後権利関係が第三者に渡ってしまったことを思えば、結果はどう転んでも今と同じだったと思います。それでも、マンションになってしまったその場所の側を通る度に今も寂しい気持ちと後悔の念がわき上がってきます。
SZ邸はその葛西に、しかも今は親水公園となった水路の脇に建っています。
設計の依頼を受けて真っ先に考えたのは、取り壊された実家のことでした。その記憶を少しでも新しい家に投影出来ないだろうか。。家族や親戚を暖かく迎えてくれた大きな屋根の下の大きな空間、そして町の人々に永く記憶されていたあの姿。。。ほんの僅かでも、今に蘇ってくれないだろうかという思いを込めました。〈TAK〉
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「建もの探訪」12月14日 AM4:00
2012年12月12日|クライマーズハウス|http://komada-archi.info/archives/831
12月14日(金)AM4:00の「渡辺篤の建もの探訪」で「クライマーズハウス」(中嶋邸)が紹介されます。
是非ご覧下さい!
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