121230 建築のチカラ・人のチカラ

一昨年お引渡をした住宅のクライアントからこんなメールを頂きました。

「引っ越しを機に本当に人生が変わった気がします」

住宅の設計をしていてこれほど嬉しい言葉はありません。クライアントとの出会いから、引渡までの出来事を想い浮かべながら、自分の心も満たされて行くのが分かります。
建築には人の人生や社会をかえる素晴らしいチカラがある。僕もそう考えてこの仕事をしています。でも、同時にいつも思うのは、この世で建築にだけ特権的なチカラがあると考えるのは傲慢に過ぎるということ。それに、そもそも建築は人生を変えるためのキッカケでしかないんじゃないかと。仮に人生や生活に対する答えがあるとしても、それは建築にではなく、そこに住む人々の内にこそあるはず。人は主体的にしか変われない。答えを建築に求めすぎても幸せにはなれないでしょう。物理的な環境に理想の形などあるはずがないのです。

メールを頂いて思ったのは、感謝しなければならないのは、むしろ僕たちの方だということ。
建築を通じて新しい気持ちになれたのは、結局のところ建築ではなくて、そこに住むクライアントのチカラの賜物だと思うからです。
本当にありがとうございました。〈TAK〉

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